高速道路が走れない。一般制限の厳格化!

バリケード

最近、運送業者をとりまくコンプライアンスが非常に厳しくなってきています。まあ時代の流れって言えばそれまでですし、あまりに悪質な違反やそれに伴う痛ましい事故の発生があるわけなので仕方がないとは思います。ただ、荷主さんに今まで運べたものが運べなくなるわけなので、コンプライアンスのためって言っても、理解してもらうまでに時間がかかりますよね。

今回はその一つである『道路法による一般制限値』に関する高速道路6社による通達です。

  1. 車両制限令違反車両に対する違反点数の見直し
  2. これは違反なのか?道路交通法 VS 道路法
  3. 対策
  4. 道路管理関する法令
    ①道路法による一般制限値
    ②特殊車両通行許可申請
    ③道路交通法による制限外積載許可申請
目次

車両制限令違反車両に対する違反点数の見直し

2017年4月1日より車両制限令違反車両に対する違反点数の見直しと累積期間の見直しが行われました。今までは指導を受けても点数に影響がなかったのですが、指導を受けただけで3点の減点となり、累積期間も3カ月だったのでよほどの悪質でなければ、罰則を受けることがありませんでした。ところが、累積期間が2年と伸びたことで、累積によって『大口・多頻度割引停止措置』が行われます。

しかも組合全体で行われるので大変です。

中小運送業者はETCを組合経由で発行してもらっています。ある程度の数の発行枚数と使用料ががあると大口・多頻度割引によって通行量が安くなるのです。そのため組合などで総枚数を多くすることでこの割引制度を適用してもらうのですが、1社が累積違反すると組合全部が割引停止になってしまうのです。厳しいです。

とはいえ、違反しなければいいじゃないか?と言われればその通りですが・・・・・

これは違反なのか?道路交通法 VS 道路法

今まで、道路交通法では許可されている範囲であればあまり五月蠅いことは言われませんでした。ところが道路交通法の範囲であっても道路法では違反になることがあるんですよね。

正確に言えば道路管理会社が違反とするようになったのです。それが今回の通達!

例えば道路交通法では全長の10%までなら荷物が荷台からオーバーしても許されていますので、大型車でもけつ切りをして積んでいました。道路法による一般制限は12mまでですが、それはあくまで車両のサイズという認識なので道路交通法の10%を適用すると、大型車は12m弱なので荷台から1mは出しても違反ではないと考えていたんです。

実際、警察署や運輸局に確認したところ一般道路は問題なく走ることができるのです。

ところが、高速道路を管理している6社が連名で『大型車両の適正かつ安全な走行に向けて』という通知を出したことで状況が一変しました。
今まではコンプライアンスに対して白、グレー、黒などと分けた場合に、その中で悪質な黒の違反者に対してペナルティがありましたが、2017年4月1日よりグレーであったものも取り締まりの対象となりました。正直白もグレー扱いになった気分。だって一般道路は走れるんだもん。

勿論、道路管理会社の言い分もわかります。ただ、法令としての形式的な違反と悪質な違反を分けて欲しいですよね~。

この辺について2018年1月1日号の物流Weeklyの22面、23面に「阪神高速道路 ナンバー不一致」「混乱する重量物輸送」という見出しで記事が掲載されていました。

対策

定期的に運ぶ荷物については特車申請をして高速道路管理会社の許可をとれば対応できます。もちろん、コストもかかるし申請した内容を厳守しなくてはならないので、通常の運行とは異なりますが、違反をするわけにはいかないですし、違反にならないように一般道路で走る方法もありますが、それはそれで労基問題になってしまうしコストもかかるので、正しく対応するべきですね。

道路管理に関する法令

道路法による一般制限値

今回の問題となる法令は何でしょうか?道路を走る車はこの制限の中で走ってくださいと決まっているわけです。道路法制限道路は一定の構造基準により造られていますが、その中で、道路法では道路の構造を守り、交通の危険を防ぐため、道路を通行する車両の大きさや重さの最高限度を次のとおり定めています。この最高限度のことを「一般的制限値」といいます。 (道路法第47条1項、車両制限令第3条)

  • サイズ 幅 2.5m、高さ 3.8m、長さ-12m
  • 重量、総重量 20t、軸重 10t、輪荷重 5t
  • 最小回転半径 12m

特殊車両通行許可申請

新幹線の輸送荷物によっては一般制限値を超えることが起きます。通常ではこのままでは輸送することは出来ないのですが、特殊車両通行許可証を申請することで可能になるのです。夜中に新幹線を輸送しているニュースとか見たことありませんか?

事前に走るルートを決定して、通り道で問題点があれば対策をとる必要があります。

道路交通法による制限外積載許可申請

積載物の重量、大きさ、積載の方法については以下のような制限が設けられており、これを超えることとなるような積載をして車両を運転するには、出発地を管轄する警察署長の許可が必要です。

(1)積載物の重量-自動車検査証に記載されている最大積載重量
(2)積載物の大きさ
1)長さ……自動車の長さにその長さの1/10の長さを加えたもの
2) 幅……自動車の幅
3) 高さ…3.8メートルからその自動車の積載する場所の高さを減じたもの
(3) 積載の方法
1)自動車の車体の前後から自動車の長さの1/10の長さを超えてはみ出さないこと
2)自動車の車体の左右からはみ出さないこと

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