世の中の賃上げの状況
ここ数年、「賃上げ」という言葉を耳にする機会が増えました。物価上昇や人手不足を背景に、多くの企業が給与水準の見直しに取り組んでいます。大企業を中心に、ベースアップや初任給の引き上げが進み、ニュースでも「5%賃上げ」という1991年以来33年ぶりと言われる数字が並ぶようになりました。一方で、すべての企業が同じように対応できているわけではありません。業種や規模によって状況は大きく異なり、「賃上げが必要だと分かっていても簡単ではない」という声があるのも現実です。賃上げは単なる数字の話ではなく、会社の体力や将来への考え方が問われるテーマだと感じています。
運送業の賃上げの状況
運送業界でも賃上げは大きな課題です。2024年問題をはじめ、労働時間の制約やコスト増加が進む中で、「ドライバーの待遇をどう守るか」は多くの会社が向き合っています。実際に運送業の賃上げ率は3%にとどまり、運賃交渉が思うように進まないケースも多く、利益構造が厳しい会社ほど、賃上げに踏み切りづらいのが実情です。その一方で、人がいなければ仕事は回らないのも事実です。だからこそ、運送会社には“続けられる形”での賃上げが求められています。無理をして一時的に上げるのではなく、長く働ける環境をどう作るかが重要だと考えています。
実際に政府では標準的運賃(8%引き上げ)を示しており、他産業と格差が広がる中でなり手不足解消のためにも適正価格の収受が求められてきています。
雄山の賃上げの取組
当社も少しでも運転手の待遇改善をしたいと思っておりました。ただなかなか不安定な中で簡単にはできませんでした。最初に取り組んだのは、月々の給与ではなく「賞与」の引き上げでした。理由はシンプルで、できるだけ還元したい気持ちはあっても、先行きが不透明な中で毎月の固定費を増やすことには慎重になる必要があったからです。運送業は景気や荷量の影響を受けやすく、月次での安定性を見極めるには時間がかかります。トランプショックとかまじで勘弁してほしかった(TT)

そこでまずは、業績が出た分を確実に返せる賞与を増やし、その後、決算賞与という形でも還元を行いました。これは「様子見」ではなく、「無理をしない判断」です。会社が無理をすれば、いずれ従業員にしわ寄せがいきます。だからこそ、段階を踏みながら、現実的な形で還元することを大切にしてきました。弊社での労働分配率を少しずつ上げつつも持続できる割合を維持するところをさぐってきました。
2025年10月に給与UP

その結果、ついに2025年10月には給与アップを実施しました。
基本給レベルで約8%、月額ベースでは約3%の引き上げです。実際にニュースになっている経団連などの5%と言っているのは基本給になっています。ただ運送業は残業や歩合の割合が大きいため、全体で考えたほうが伝わるかと思います。
一時的な手当ではなく、毎月の給与として反映させた点が大きなポイントです。ここまで踏み切れたのは、業績の積み重ねと、将来を見据えた判断ができたからだと考えています。実際に運転手の給与として同じ仕事をしているのに額面が変わることに、多くの運転手から喜びの声を頂けました。
8月に会社のレクリエーションで『できるだけ還元したい』という話をしていたのですが、この時には何度も何度も計算をしていました。
これからも、できるだけ還元していきたい
今回の賃上げはゴールではなく、あくまで通過点だと思っています。大切なのは、「続けられること」と「無理をしないこと」。その上で、会社としてできる限りの還元を行う。それが結果的に、安心して働ける環境につながると考えています。
当社は、急激な変化よりも、着実な積み重ねを選んできました。リーマンショックの時に受けた大きな痛手を繰り返さないために、会社の理念として『会社はつぶれるもの』だからこそ、そうならない普段の努力が必要で『勤勉であれ』と繰り返し経営者は学んできました。その結果として『笑顔を作る』として誇れる会社になる努力を続けています。派手さはないかもしれませんが、現場と経営の両方を見ながら判断しています。これからも状況を見極めながら、できる形で、できるだけ従業員に還元していきたい。そんな考え方に共感していただける方と、一緒に働けたら嬉しいです。
