運転手の待遇改善を目指して!

現在、2024年問題が直面しているけどその一番の問題は運転手の労働環境がよろしくない。労働環境が悪ければせめて賃金ぐらいなんとかなっていれば・・・って感じですが、昔は比較的誰でも稼げる業界であったはずなんだけれども、そうではなくなってしまった。色んな法律改正とか、中型車免許などの導入などで普通免許ですぐに仕事が出来なくなってきて、結果としてどんどん待遇も悪くなってきた。実際に統計的にみるとトラックドライバーの年間労働時間は全産業と比較しても長く、賃金も低いってデータが出ている。これは業界にいる身としてかなり残念です。

参照トラック運送業界の2024年問題 日本トラック協会作成

でも、確かにこんなデータ出ていたら、運転手になりたいって人も減っていく訳で、その判りやすい問題が2024年問題。待遇が悪いから、待遇をあげるために、働き方改革を実施しろって強制的にするのが、働き方関連法案で有給取得とか総労働時間規制とか・・・・
運送業は労働集約型産業って言われる人が居なければどうにもならない産業だから、雄山陸運として少しでも待遇改善をしていきたいと思っています。

目次

有給休暇の5日間の取得義務化 100%達成

対応してきた働き方改革関連法の一つ目は、年間5日間の有給休暇の取得です。
年次有給休暇の取得義務化は労働者が年に最低5日は有給休暇を取得することが義務づけられ、2019年4月1日から施行されていました。
面接などで『親が倒れたから病院に行きたい』って言っても休ませてもらえなかったので退職を決めたという話もあるくらい、運送会社って休みがとりにくい。そこまで酷くないけど僕が入った20年近く前は、うちでも有給は取りにくかったと思う。特に子供の行事(運動会とか、入学式とか)は『えっ』いくの?って風潮でした。昭和は父親が学校行事行くって少なかったですからね。
やっぱり少なくとも理由があるときに休めないって異常だし、休みたいときに休めるようにするってのは当たり前のはずです。ただ実務をみると定期便などを組んでいると休みをとるのが本当に難しかったりもしました。
 また、従業員の中には本当に責任感で便の運航を最優先にしてくれる方もいて、有給とってねってお願いしても運行してくださる方もいる。

対策

とりにくい有給休暇の取得を促すために、会社としても仕組みが今まで通りなままで旗を振っても出来るわけない。小さい一歩でもとにかく出来ることをしないといけない。

①年間計画の策定
有給休暇5日間について、一番は本人の都合で休みをとれることが大事ですが、それ以外に時期指定とか有給推奨日の設定などでとれるようにする方法があります。いつ休めるか、休んでいいか?迷惑かからないか?などの気遣いの部分もあって取得しずらい所があるので、推奨日を決めておけばそこで有給が取れるようになります。

②運航便のツーマン制(複数人対応可)
一つの便で一人しか出来ないと、休むためには便を止めなければならなくなるが、それはなかなか難しい。有給取得が出来るためには、一つの便に対して最低二人が対応できるようにしておけば、代わりいないって事が防げます。

③管理者の代行
便によって複数の従業員で回しにくいものがある、そうなったら管理者が走るしかありません。単発のスポット便から定期の便まで代行できる管理者がいれば休みやすくなります。

④給与明細への記載
運行管理に関わる管理者だけでなく、総務や経理にも協力してもらい、有給休暇が5日取れていない運転手の洗い出しと給与明細へ有給日数の記載を行うようになりました。有給が取れていない人には本人の希望を聞いた上で、なければ、推奨日を予定して配車計画に組み込むようにしました。

こうしたことを2019年から継続して改善してきており、2021年度は95.1%(3名未達)でしたが、2022年以降は100%ができるようになりました。
コロナになり、従業員だけでなく家族がかかったら全員まとめて隔離という状況のおかげ?(せい?)により追い込まれたことで、②と③を強制的に進めてこれた部分もあります。やはり少しずつ変えていこうと思ってもなかなか進められないですね。

月60時間超残業に対する割増賃金率引き上げ

大企業は平成22年4月に改正労働基準法が施行され、このときより60時間以上の残業代に対しては割増賃金の支払い義務が生じましたが、中小企業については2023年4月まで猶予措置が取られていましたが、導入されることになりました。
これは運送会社に限らず中小企業の労働生産性が低いので、DX化とか働き方の見直しなどを通して、労働生産性をあげなさいというメッセージなのです。

中小企業の運送会社としては労務費直撃でかなりしんどい状態です。実際も2023年の道路貨物運送業の倒産件数は過去10年間で最多となってしまいました。倒産理由としては『燃料高』と『人手不足』です。

運送会社は見込み残業だったり歩合設定などでこうした労働時間に対する給与支払いが不明瞭な事がありますが、2013年から雄山陸運では時間給と歩合手当の二段階制をとっており、労働基準監督署で確認しながら作成しています。そうした制度設計の中で60時間以上の超過に対してしっかりと手当の支払う事が出来ています。

まとめ

労働集約型産業のなかでも運送業の労働生産性は低く、賃金が上がりづらいのが実態ですが、それでも運転手の質を高める教育と、お客様の要望をきく中で代わりのきかない運送会社を目指しています。その結果として運賃だったり運行条件について荷主のお客様と一緒に改善していく中で生産性を上げていく事が出来るかなと思っています。

まずは有給休暇の5日間の義務化や残業代の割増の支払い、フレックスタイムの拡充など出来ることを一つずつ行っていくとともに、他の項目についても改善を進めていきたいと思っています。

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